光のさんぽにゃ
朝いちばんのカフェは、まだ少しひんやりしていて、窓の外の空も淡い水色だったにゃ。ボクはいつもの場所でしっぽをくるんと丸めて、店内に差し込む光をぼんやり見ていたにゃ。朝の光はやわらかくて、床の木目をなでるみたいに静かに広がるのが好きにゃ。きりっ と目を細めると、ほこりの粒まできらきら見えて、なんだか小さな宝物みたいだったにゃ。
午前中は、光が少しずつ長くのびて、カウンターの角や椅子の脚の影がすこしずつ動いていったにゃ。お客さんの足音が増えるたびに、空気もふわっとあたたかくなるにゃ。ボクはその流れに合わせて、入口のほうへ行ったり、窓辺へ戻ったりして、店内の明るさを確かめるみたいに歩いたにゃ。すると、ひなたの中で毛並みがぽかぽかしてきて、うとうとしそうになったにゃ。
お昼前には、昨日の夢をふいに思い出したにゃ。ささみの橋をわたって、さよりちゃんといっしょに星の森へ行くはずが、途中でだんご君が急に地図を食べちゃって、ボクだけ迷子になったのにゃ。へんな夢だったけど、目が覚めたときはちょっとだけお腹がすいて、ちゅぱちゅぱ しながらしばらく考えちゃったにゃ。夢の中でもボクは、たぶん一生懸命だったにゃ。
午後になると、窓から入る光がいちばん明るくなって、店内のあちこちが金色に見えたにゃ。ソファの端っこ、棚の上、床に落ちるしっぽの影まで、みんなやさしく照らされていて、カフェ全体が静かに息をしているみたいだったにゃ。ボクはそのあたたかさを背中いっぱいに受けながら、ゆっくりまぶたを閉じたにゃ。こういう日は、たくさん走り回らなくても、光がちゃんと1日を運んでくれる気がするにゃ。
夕方には、光がまた少しだけ赤くなって、壁に長い影を落としたにゃ。朝のやわらかさとも昼のきらきらとも違って、なんだか落ち着く色だったにゃ。閉店が近づくころには、店内の音も静かになって、最後の光がガラスにすべっていくのを見送ったにゃ。ボクは今日いちにちの光の変化を見ていて、カフェは同じ場所なのに、時間ごとにまるで別の顔になるんだなって思ったにゃ。なんだか、また明日も見守りたくなる景色だったにゃ。